2012年1月8日日曜日

2011/12/30 カロタセグのクリスマス2011後半(2)

一晩明けて、朝食前に、牛の搾乳を見学。文字通り搾りたての新鮮な牛乳を飲めるのは農村部の特権でもあります。

朝食は、昨晩作った豚の煮凝りがメインです。

通常は、肉を取った後の豚の様々な部位が
入りますが、今回は、贅沢に肉を入れました

日本ではあまり食べる機会のないものだと思うのですが、意外と好評でした。

朝食後は、馬車で隣の街まで散歩に。



散歩から帰ると、民族衣装の試着をしました。当地カロタセグの民族衣装は、ハンガリー人の衣装の中でも格別に華やかなもので、試着のしがいがあります。試着の過程で様々な発見もあったようでした。

カロタセグ地方の女性の衣装

衣装部屋でかなり盛り上がったのですが、今日の主要企画のひとつは、鶏二羽から作る料理での昼食会です。今回は、料理に興味をお持ちの方たちが多く、料理体験をメインのひとつとしました。衣装部屋にいると時の経つのも忘れてしまいそうですが、一通り衣装を楽しんだ後は、料理開始です。

鶏は、村ではほとんどすべての家で飼われているといっても過言でないほど、身近な家禽です。お祝い事や、日曜の昼食をはじめ、動物性蛋白源として食事に用いられます。とうもろこしを飼料に、庭を駆け回って育った鶏とその卵は、現代では手に入りにくくなってしまった、貴重で安心・良質な食物です。

当然のことなのですが、健康で良質な肉を食べるためには、その命を奪わなければなりません。その瞬間を目の当たりにするのは決して心地のよいものではないと感じる人が多数だと思いますが、普段何も考えずにお店に並んだ切り身や料理されたものを消費している人にとっては、それを経験することは食べるということ、生きるということについて再考するきっかけとなるかもしれません。

今回は、熟練した方に、鶏の処理と料理指導をお願いしました。鮮やかな手さばきによって、苦しむ様子もなく、鶏はさばかれていきました。この鶏の処理、日本からの参加者の方は、トラウマがあるという方から、ぜひ参加したいという方までそれぞれでしたが、それぞれに感じるところがあったようです。

さて、鶏の解体が終わると、全員参加で野菜の皮むきをしました。鶏といろいろな野菜を煮込んでスープにします。

スープに入れる野菜


スープの仕込が済むと、また全員参加で今度はじゃがいもの皮むき。これはメインの付けあわせとなります。

今までの参加者は、大学生から30代前半くらいの方がほとんどだったのですが、今回はその親世代くらいの方たちです。ここでの経験では新鮮さと懐かしさの両方を実感していただけたのではないでしょうか。料理をしながらも話が弾みます。

スープとじゃがいもが薪コンロの上で煮えるのを待つ間も休みません。次はデザートの焼き菓子を作ります。

焼き菓子作りは祝日には欠かせず、通常の日曜日にも多くの家庭で習慣となっています。参加者の方にとっては初めて見る器具などもあり、感嘆の声が上がります。

菓子生地をオーブンに入れたら一息、と思いきや、決してそうではありません。スープに入れるパスタをゆで、スープから鶏肉を取り出し、焼きます。本来は、パスタも手作りするのですが、限られた時間には入りきらず、今回は市販のものを利用しました。

さて、まだまだ作業は続きます。スープのだしをとった野菜は、細かく刻んでサラダになります。やわらかくなったじゃがいもは、ピュレに。お菓子も焼きあがり、ようやく料理は完了です。

昼食は希望予定時刻より2時間近く遅くなりましたが、食べるためには働かなければならない、その最も基本的なところを経験できたのではないかと思います。何時間もかかる調理中、ほとんど腰掛けもしない村の女性の働きぶりに、一同感嘆しきり。ぜひ若い人にこそ体験してほしいという感想をいただきました。

ようやく、待ちに待った昼食です。前日お世話になった川井さんご夫妻にも来ていただき、ちょうど皆そろって食べることができました。

地鶏のスープ
黄色い脂肪が地鶏の証

地鶏の肉とじゃがいもピュレ

お腹が満たされたところで、招待していた音楽家の一行が隣村から到着しました。長老の踊り名人も一緒で、思いがけずもうれしい再会に、しばし話が弾みます。


村の男性の社交場である居酒屋に移動し、演奏を開始します。今回の会は招待制ではなく、出入り自由。大掛かりな事前告知もしていません。半ば自発的な集まりで、たまたま居酒屋に来た人は幸運です。予想外のうれしいできごとに、次第に人が集まりました。

生演奏を楽しむ村の人たち

人が集まるのはうれしいことですが、想定外の問題が起こりました。ここでは、残念なことに、とても喫煙率が高いです。冬で閉め切っていることもあり室内の煙はかなりのことになりました。私自身、民俗舞踊に携わることになった当初、踊りのあるところはとても埃っぽいと聞かされており、実際行ってみてその埃っぽさと独特のにおいの副流煙に辟易したものです。年月が経って埃っぽさは幾分軽減されたものの、喫煙率はむしろ上がっているかもしれません。自分自身はその時間だけと割り切っていたのですが、分煙に慣れた方たちにとっては、やはり驚くべき煙レベルだったようです。実際、確かにこの日は人数が多かったこともあり、濃度が高かったかもしれません。

ここでは分煙という意識はなく、自発的な集まりで、居酒屋は私たちのものではないため、当然ながら、私たちが口出しをすることはできません。幸い、部屋が複数あるため、自己防衛していただき、踊りのあるときなどのみ、短時間メインの部屋に来ていただきました。雰囲気は楽しめたと言っていただけたのが幸いです。

先に述べたよう、この日の集まりは半自発的なものです。居酒屋に集まるのはほぼ男性のみであるため、踊りよりも歌が主となりました。とはいえ、関係者の女性も数人いたため、カップルダンスも少し、また、男性舞踊も名人を交えて行われました。当地域での生演奏での自発的な踊りの機会を見るのは初めての方ばかりで、これに関しては本当に楽しんでいただけました。

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